真田十勇士

by Saito 2013年04月9日

笹沢左保さんという作家の「真田十勇士」という作品をご存知でしょうか?これはもう大分前に一度読んだいわゆる歴史小説なのですが、なぜか最近また読み返してしまいました。真田十勇士自体は昔からあるもので、現在伝わっているこの物語はまだテレビやラジオも無かった時代に「講談師」と言われた方達が町々に訪れてしていたお話が元になっているそうです。戦国時代末期の史実をもとにした架空のお話なのですが、その時代の大勢ではない豊臣側へ敢えて加勢する真田幸村という武将のもとに一騎当千の十人集が大活躍するという、この昔の人の想像力の逞しさはいつ触れても脅威を憶えますね。何百年後かには現在生きている人達にも、もしかしたらそういった架空のお話が出来ているのかも知れませんね。

滅びの美学

今回読み返して一番思ったのがこの日本特有とも言われる「滅びの美学」についてです。もっと上手いやり方もあるのに、敢えて滅びる方へ向かっていく。自分の信念を貫くため、むしろ滅びていく事に美しさを見いだすとでも言いましょうか。それ自体には前と同じように血が騒ぐところがあったのですが、なんだかんだ周りの上手く行ってない感じにイライラを憶え「こんな形で滅びていくのは嫌だな」と今回読み返してみて単純に思ってしまいました。なぜそう思ったのか不思議な感じが自分でもしましたね。物語は何一つ変っていないのに自分に流れた時間がそう思わせたのか…。たまには以前読んだ本を読み返してみても、色々な事に気付かされて良いものだと思いました。